科学

錯覚のなぞを追いかけたら、脳とAIの未来が見えてきた

錯視の図形が並ぶ机で、本を前に考える羊さん

シルエットだけのダンサーがくるくる回っている画像ってみんなは見たことあるかな?

あれは多くの人は時計回りに回っているように見えるらしい。
でも、ダンサーの頭や肩のあたりを意識しながら、上や下から覗き込むような気持ちで見つめ直してみると…今度は反時計回りに見えてくる。

同じ画像なのに、だ。

これはスピニングダンサー、シルエット錯視と呼ばれる有名な錯視の一種で、シルエットという限られた輪郭情報から立体的な動きを判断するときに、脳が勝手に奥行きの手がかりを補ってしまうことで起きる現象なんだ。

僕も初めてこれを知ったとき、同じ画像なのに不思議に思えてしまって、何度も見返しちゃったんだ。

目の錯覚って、知識として仕組みを知った上で見てもついつい騙されるところが面白いよね。

じゃあ、そもそもなんで僕たちの目はこうも簡単に錯覚してしまうんだろう?
今回はそんな不思議だけど面白い錯覚の世界をみてみよう。

さあ、僕と一緒に未来を覗き見に行こう。


目次
  1. そもそも、なぜ目は「錯覚」してしまうのか?
  2. 錯視の研究が、AIの理解にもつながっている
  3. 目の錯覚の先にある未来
  4. 錯覚は、脳が世界を予測している証拠だった
  5. 参考にした資料

そもそも、なぜ目は「錯覚」してしまうのか?

回転して見える踊り子のシルエット錯視画像(スピニングダンサー)
出典:「Spinning Dancer」
by Nobuyuki Kayahara, CC BY-SA 3.0,
via Wikimedia Commons

「目の錯覚」って言うくらいだから、目が悪さをしていると思うかもしれない。
でも実はこれは目のせいじゃなくて、脳の働きが引き起こしている現象なんだ。

僕たちの目は、カメラみたいに世界をそのまま写し取っているわけじゃない。

網膜(目の奥にある、光を受け取る膜)に映った情報はあくまで断片的なもので、脳が勝手に補完して世界を再構成している…、みたいな感じ。
こうやって聞くとなんかSFチックだけど、ちょっとイメージしにくいよね。

すごく端折って書くと、脳は常に「次はこう見えるはずだ」という予測を実は先に作っていて、実際に目から入ってくる情報とのズレ(誤差)を修正しながら、僕たちが「見ている」と感じる世界を作り上げている。

これを予測符号化(脳が次の情報を予測し、実際とのズレを修正する仕組み。)と呼ぶんだけど、脳がどう世界を見ているかを説明する理論の中では、今のところ一番有力なものの一つなんだ。

つまり錯視というのは、脳の「悪いクセ」じゃなくて、むしろ普段はうまく機能している予測のシステムが、特殊な図形や条件によって、ちょっとだけ空振りしてしまった状態。

脳が一生懸命がんばった結果のミスとも言えるかもしれない。

そう考えると、目の錯覚が面白いのって、単に不思議な画像だなという話じゃなくて、脳がどうやって世界を認識しているかの仕組みそのものが垣間見えるからなんだよね。

そして、ここからがさらに面白い話になってくるんだ。


錯視の研究が、AIの理解にもつながっている

この予測符号化の仕組みを、AI(人工知能)に組み込んで脳の動きを再現しようとする研究が、実際に進められている。

静止しているのに動いて見える蛇の回転錯視の画像

たとえば、蛇の回転錯視って知ってるかな?
止まっている模様なのに、見ているとぐにゃぐにゃ動いて見えるやつ。

あれもかなり有名な錯視なんだけど、予測符号化を取り入れた深層学習モデルに動画を学習させたら、AIもこの絵が回って見えると答えたんだ。

しかも面白いのはここから。人間が錯視を感じない画像を見せると、AIも動きを検出しなかった。間違え方まで人間と同じだったということになる。

AIが人間と同じ錯覚をする、というのはちょっとゾクッとする話だと思わない?

これが意味するのは、錯視という一見ただの不思議現象が、「脳がどうやって世界を認識しているか」を解き明かすための貴重な手がかりになっている、ということだ。錯視を調べることは、遠回りに見えて、実は脳の仕組みそのものに近づく道でもある。

そして、この道の先には、もう少し大きな話が待っている。


目の錯覚の先にある未来

脳が視覚情報を予測しながら処理する様子のイメージ図

錯視や脳の予測の仕組みを理解することは、面白い画像を楽しむだけで終わらない。

実はこれからの技術にもつながっていく可能性があるんだ。

この人間の脳の予測の仕組みを模したAIがさらに発展すれば、人間の目や脳がどうやって情報を処理しているかを、より正確にシミュレーションできるようになるかもしれない。

そうすると、視覚に関わる病気の研究や、人間に近い感覚を持つAIの開発にもつながっていく。

たかが目の錯覚、されど目の錯覚。

身近な「なんで?」という疑問を辿っていくと、脳科学や人工知能みたいな、未来につながる話題にちゃんと繋がっているのが、この分野の面白いところだと僕は思う。


錯覚は、脳が世界を予測している証拠だった

目の錯覚は、ただ不思議だな、という感情で終わらせてしまいがちだ。
でもその裏には、脳がどうやって世界を認識しているかという、かなり奥深いテーマが隠れている。

見方を変えるだけで回転方向が変わって見えるあの不思議な感覚。
あれは、脳が一生懸命僕たちのために世界を予測し続けている証拠なのかもしれない。

今回も未来を覗き見れたかな?それじゃ、バイバイ!

参考にした資料

・Illusory Motion Reproduced by Deep Neural Networks Trained for Prediction(Frontiers in Psychology, 2018年)
・深層学習によって「蛇の回転錯視」の知覚再現に成功(生理学研究所, 2018年3月20日)

夜中の鏡が怖い理由は霊じゃなく、僕らの目がサボるからだ

この記事を書いた人

sh33p

生き物・宇宙・地震…気になるサイエンスに手を出しまくる好奇心の塊🐑
「未来を覗き見る」をテーマに、身近な不思議から壮大な話まで、調べて分かったことをゆるく発信中。
専門家じゃないからこそ、初心者目線でわかりやすさを大事にしてます。
記事はAIと一緒に下書きし、数字や年号は参考資料にあたって確認したうえで、最後は僕が読んで公開しています。

運営者について詳しくは運営者情報のページをご覧ください。

コメントを書く

メールアドレスが公開されることはありません。* は必須です。