海の底に眠る泥が資源になる?日本発、南鳥島沖レアアース泥の正体

海の底に眠る泥が資源になる日本発、南鳥島沖レアアース泥の正体
地球

日本の最東端にある島を知っているかな?

小笠原諸島にある島で名前を南鳥島(みなみとりしま)と言う。

その南鳥島は今、日本にとって重要な島として知名度が上がっている。
もちろん、最東端と言うことで有名でもあるが、他にも注目されていることがあるんだ。

東京から約2000km離れた南鳥島の位置を示す地図

最近ではニュースやSNSでも話題になっているレアアースを知っているだろうか?

南鳥島沖の海底からそのレアアースが含まれた泥の引き上げに初めて成功したというニュースが今年の2月に報道されていた。

そしてその泥の分析結果がが7月24日に明らかになったんだ。

今回はこの「レアアース泥」の謎と、どうして日本にとって重要なのかということを科学の視点からわかりやすく紹介をしていこう思う。

それでは、未来を覗き見に行ってみよう!

そもそもレアアースって何?

ガジェット好きの人であればレアアースと言う言葉自体は聞き馴染みがあるものだと思う。

ただ、それが何かを具体的にわかる人は少ないんじゃないかな。

このレアアースと言うのは磁石などで使われることがあるネオジムやジスプロシウム、ガドリニウムなどの17種類に及ぶ元素の総称として言われている。

今回そのレアアースが含まれた泥が南鳥島の海底から採取することができたんだ。
東京から約2000km離れた南鳥島沖の水深6000mと言う深さの場所に眠っている。

レアとついていているので希少なイメージが強いと思う。
ただ、地球規模で考えると実はそこまで少ないというわけではなく、それぞれの元素自体は地球の地殻部分に銅や鉛と言った鉱物と同程度の存在量がにあるとされている。

ではなぜレアとつくのか?

このレアアースは各元素の化学的な性質が似ているため混ざって見つかることが多く、各元素を使用する際に別ける必要がある。

そして、この各元素を高純度で抽出することが技術的に難易度が高く、生成が難しいことからレアアースと呼ばれている。

そしてこのレアアースは僕たちにとってとても重要なもので、身近な製品にたくさん使われている。

ネオジムやジスプロシウムなどレアアース17種類と身近な製品での用途を示す図

例えば、ネオジムやジスプロシウムなどは強い磁力を持っていることから、電気自動車(EV)のモーター用の高性能磁石として使われていたり、イットリウムはLEDとして知名度がある発光ダイオードやMRIなどの医療用機器などに使われている。

その他にも日本の電力を支える原子力発電で使われる原子炉の制御システムにはガドリニウムが使われていたりしている。

もちろん、僕らが手にしているスマホにもネオジムやジスプロシウムなどのレアアースが使われている。

この様に現代にとって必需品と呼ばれる製品には必ずと言っていいほどレアアースが関わっているんだ。

なぜ中国が世界の7割を握っているのか

そして最近であればナフサなどで騒がれていたように、日本は物資の供給が不安定になることが多いことからわかるように、日本の製造業に当たる物資は海外に頼っている部分がとても多い。

その中でもレアアースは、中国が世界の生産量の7割近くを占めていて、その他がオーストラリア、アメリカとなっている。
そして日本も2024年時点では約60%を中国からの輸入に頼っているんだ。

そう聞くと生産が主な国にしかレアアースが埋まっていないと思われるかもしれないが、実はそう言うわけでもないんだ。

実際、地球規模で見ると世界中に一定量存在はしているんだけど、中国は長年・精製・精錬と言った環境負荷の高い作業を担っていたということもあり、技術を長年培ってきたことから結果として市場を事実上独占している。

つまりこのレアアースの問題は、資源の有無よりも技術とそれを行う設備があるかないか、と言う部分が重要なんだ。

南鳥島沖の「レアアース泥」ってどんなもの?

南鳥島沖の海底から引き揚げられたレアアースを含む泥

他国からの輸入に頼ってる日本にとって、この小笠原諸島、南鳥島沖の海底に眠るレアアース泥は、とても重要な存在になる。

このレアアース泥の存在が明らかになったのは2011年ごろの話。

東京大学の研究グループが、深海底の泥が新たなレアアースの資源になる可能性を世界で初めて発表をして、2013年に南鳥島周辺に大量のレアアース泥が眠っているということを確認したんだ。

そしてこの海域には少なくとも1600万トン相当のレアアースが眠っているとされていて、これは世界でも3位になるほどの埋蔵量なんだ。

そしてこの南鳥島沖にはジスプロシウムやネオジム、ガドリニウムなど、6種類以上のレアアースを高濃度で含む泥が見つかっている。

泥の中身、ついに明らかに

記事の冒頭でも触れたとおり、7月24日に発表された分析結果では、この泥の中に中重レアアースと呼ばれる、イットリウムジスプロシウムなど医療機器や電気自動車で使われるEVモーターの材料として欠かせない元素が多く含まれていることがわかった。

この中重レアアースはレアアースの中でも価値が高いとされる種類なんだ。

そしてこの発見は、政府内でもとても大きな分析結果になっている。

この分析結果を踏まえて、2027年には大規模な試験も計画されていて、今後もこの動きは活発に取り上げられると思う。

どうやって深海の泥を掘るのか

ただ水深6000mと言う深さから泥を引き揚げるのはとても難しい作業になるんだ。

今年の初め、2月頃には地球深部探査船ちきゅうが長さ10mの揚泥管(ようできかん)を約600本つなぎ合わせて海底にある泥の引き上げに成功したんだ。

地球深部探査船「ちきゅう」の画像、揚泥管のイメージ図

このことから、今後は1日当たり350トンの泥を回収することを目標として、2027年には試験を開始する予定なんだって。
そしてこれがうまくいけば、2028年以降には産業化を目指す目標なんだ。

なぜ日本はここまで急ぐのか

中国はこれまでにもレアアースの輸出規制を外交上のカードとして使ってきたことがある。

こうした状況から、日本とアメリカは供給網を強化するプロジェクトを共同で進めていて、輸入に頼ることからの脱却を目指しているんだ。

このことから政府としても南鳥島沖のレアアース泥は日本が自前でレアアースを確保することができる方法として期待されているということなんだ。

本当に救世主になるのか?

ただ、これで全部解決するかと言うと、そこまで単純な話でもないところが少し難しいところ。

レアアース自体は世界中に埋蔵されているってことは先述してる通りなんだけど、問題は確保できる量ではなく、開発や精錬をするときにかかるコストにもっとこだわるべきと指摘している専門家もいる。

つまり、量を確保できるかという問題よりも、採算がとれるコストで採掘や精製ができるのか、というところが大きなハードルになっているんだ。

まとめー海の底に眠る、日本の新しい選択肢

今回の記事はいつもと比べて少しお堅めな記事になってると思う。

ただ、東京から2000kmも離れた南鳥島沖の水深6000mという僕らが住んでいる場所からは想像もつかないようなな場所に眠るレアアースと言う資源が、どれだけ僕らを支えているのかと言うことが分かってもらえた気がするんだ。

もちろん、技術的なコストのハードルが高いし、資源小国と呼ばれてきた日本が深海と言う宇宙よりも謎の多い場所を突き詰めて研究するって言うのはとてもロマンがあふれる話題だと思う。

そして、このレアアース泥の他にも、この研究や、深海に求めるものがある限り、未来に残るものはたくさんあると思うんだ。

この日本の海の底の泥が、いつか僕らのスマホや電気製品の中に入っているかもしれないと考えるとワクワクしてくるよね。

今回も未来を覗き見れたかな?

それじゃ、バイバイ!

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