うるう秒はなぜ廃止されるのか、僕らは地球より機械を選んだ

地球

先月、ニュースでうるう秒が廃止されると知った。

最後に実施されたのは2017年で、そこからずっと出番がない。
使われないまま忘れられていた仕組みが、このまま正式に消えることになる。
そんな話になっているとは思っていなかった。

「1秒くらい誤差だろ」と思う人は多いと思う。
でも1秒は、科学の世界では結構大きい。
この1秒には、地球という気まぐれな相手に人間がずっと付き合ってきた歴史が詰まっている。

その歴史が、今まさに終わろうとしている。

毎日当たり前に動いている時計の裏側に、こんな駆け引きがあったなんて僕は知らなかった。

今日はその駆け引きの正体を、未来を覗き見るつもりで追いかけてみよう。

うるう秒は、地球に人間が合わせるための仕組みだった

原子時計と地球儀を見比べる羊さん

僕らが今使っている時計は原子時計という、とんでもなく几帳面な機械が基準になっている。
寸分の狂いもなく同じ間隔で時を刻み続ける。

ところが、地球の自転はそんなに几帳面じゃない。

潮の満ち引きや大気の動きに引っ張られて、速くなったり遅くなったりする。
2011年の東日本大震災のときも地球の自転がわずかに速くなって、1日の長さがほんの少しだけ短くなったことがあった。

このズレを放っておくと、何千年も経つころには時計と太陽がずれていく。
だから人間は几帳面な機械の方を、のんびり屋の地球に合わせて調整してきた。

それが、うるう秒の正体だ。

最初の調整は1972年に行われた。
そこから人間はずっとこの帳尻合わせを続けて、気づけば半世紀足らずのあいだに27回も1秒を足していた。
地球に27回も「待って」をお願いしてきたわけだ。

それなのに、僕らは機械の都合を選んだ

うるう秒でシステムが足並みを崩している様子

ところが、この律儀な帳尻合わせが今度は機械たちを困らせることになった。

たとえば2017年の元日、世界中のウェブサイトを陰で支えているCloudflare(クラウドフレア)という会社のシステムが突然おかしな動きを始めた。
普段は「このページはどこにありますか」と聞かれたら、住所となるIPアドレスを教えるだけの裏方なんだけど、うるう秒で1秒分の時間が巻き戻ったことに混乱して正しい答えを返せなくなったんだ。
この裏方はDNSと呼ばれていて、当時のトラブルはCloudflare自身が公式ブログに詳しく書いている。

僕らが知らないうちに、こういう小さなパニックが世界中で起き続けてきた。
そのたびにエンジニアたちが原因を探して直してきた。
僕らが大ごとに気づかずに済んできたのは、その裏側があったからなんだ。

律儀な帳尻合わせのはずが、機械にとっては迷惑な話になっていた。

だったら、その帳尻合わせ自体をやめてしまおう。
2022年、世界の時刻を決める人たちがそう判断した。
決まったのは、2035年までに地球と機械のズレをもっと大きく見逃すという方針だ。

つまりこれから先は、地球の自転の方をうんと長く待たせることになる。
実質的に、うるう秒という調整方法そのものを終わらせる決定だった。

うるう秒はいったい何に置き換わるのか

秒単位の調整をやめ、時間単位に切り替わる時計

じゃあ、うるう秒はいったい何に置き換わるのか。

答えは「うるう時間」という、聞き慣れない新顔だ。
名前のとおり直す単位が秒から時間に格上げされる。

これまでは、ズレが1秒近くたまる前に直していた。
これからはそのズレを1時間分まで放っておいていいルールに変わる。
1秒刻みの几帳面な調整が、まるごと1時間分の「まとめ払い」に切り替わるわけだ。

早ければ2027年から、このルール自体は動き出す。
ただし実際に1時間分まとめて調整が行われるのは、早くても数百年先の話だ。2027年に変わるのはあくまでルールの方で、僕らの時計がいきなり1時間飛ぶわけじゃない。

電車のダイヤも送金も待ち合わせの時刻も、今はどれも機械の時計を見て動いている。
僕らが地球より機械を選んだのは、そういう生活を選んだということでもあるんだ。

うるう秒からうるう時間へ。
その切り替えは、もう始まっている。

今回も未来を覗き見れたかな?それじゃ、バイバイ!

参考にした資料

・How and why the leap second affected Cloudflare DNS(Cloudflare, 2017年1月1日)
 https://blog.cloudflare.com/how-and-why-the-leap-second-affected-cloudflare-dns/

・Resolution 4 of the 27th CGPM (2022)(国際度量衡局 BIPM)
 https://www.bipm.org/en/cgpm-2022/resolution-4

うるう秒はなぜ廃止されるのか、僕らは地球より機械を選んだの裏側には、実はこんな話も。海の底に眠る泥が資源になる?日本発、南鳥島沖レアアース泥の正体

コメント

タイトルとURLをコピーしました