地学

砂漠と砂丘の違い、地図の「砂漠」は鳥取より雨が多い伊豆大島にある

乾いた砂漠と海岸の砂丘を見比べる羊さん

ある日ふと、砂丘(風に運ばれた砂が積もってできた丘。)と砂漠(雨が少なく、植物が育たないか育ちにくい土地。)の違いが気になった。
それと同時に、そもそも日本に砂漠ってあるのか?とも思ったんだ。

正直に言うと、僕は違いがわからなかった。
砂漠はもともと草が生い茂っていた場所だったとか?なんて思っていたくらいだ。

調べてみると、砂漠と砂丘を分けているのは、砂があるかどうかではなかった。
砂漠は雨が少なくて植物が育ちにくい土地のことで、砂丘は風が運んだ砂が積もってできた丘のことなんだ。
だから、雨の多い日本にある鳥取砂丘は砂漠ではない。

ところが、国の地図で砂漠と名の付く場所が、日本にもちゃんとある。
それは伊豆大島にしかなくて、しかもその伊豆大島は鳥取よりも雨が多いんだ。

今回は砂漠と砂丘の違いから、日本にある砂の景色がなぜ残っているのかまで、僕と一緒に未来を覗き見てみよう。

目次
  1. 砂漠は乾いた土地、砂丘は風が積み上げた砂の丘
  2. 鳥取砂丘と砂漠の違いは、1年に降る雨の量だった
  3. 日本にある砂漠と砂丘には、どんなものがあるのか
    1. 地図の砂漠がある伊豆大島の裏砂漠は、雨の多い火山の島にある
    2. 浜松の中田島砂丘は、砂を足して守られている
    3. 青森の猿ヶ森砂丘には、立ったまま埋まった木が眠っている
  4. 雨の多い日本に砂漠はないのに、砂の景色が残るのはなぜか
  5. 砂の景色は、今も川と風に動かされている
  6. 参考にした資料

砂漠は乾いた土地、砂丘は風が積み上げた砂の丘

砂漠と砂丘、どちらも砂のイメージがあるから、同じようなものに見えるよね。
でも実は、2つの名前は決まり方がまったく違うんだ。
砂漠は土地の乾き方で決まる名前で、砂丘は砂の積もり方、つまり形で決まる名前になる。

雨が少なくて、植物が育たないか、育ちにくいところ。
これが砂漠だ。

土地がどれだけ乾くかは、降る雨の量と、地面から出ていく水の量の釣り合いで決まる。
だから雨が降っても、地面から出ていく水のほうが多ければ、その土地は乾いていくんだ。

目安として、1年の雨がだいたい200mmより少ない土地は、とても乾いた土地に分けられる。
この200mmは、日本で1年に降る雨の平均(1,668mm)の8分の1くらいだ。

そして砂漠といっても、砂ばかりでできている砂漠は、世界の砂漠のうちの20%ほどしかない。
残りの8割ほどは、土や小石、岩でできた砂漠なんだ。
これを知ったとき、僕は「意外と少ないんだね」と思った。

一方で、風に運ばれた砂が積もってできた丘のことを砂丘と呼ぶ。
砂丘は砂漠の中にもできるし、海岸にもできる。
だから、砂丘があるかどうかでは、そこが砂漠かどうかは決まらないんだ。

岩や小石の多い乾いた砂漠と、海岸で風が砂を積み上げる砂丘

ここまでで2つの違いはなんとなく見えてきたと思う。
そうなると気になるのが、あの砂だらけの鳥取砂丘は砂漠なのかどうかだ。

鳥取砂丘と砂漠の違いは、1年に降る雨の量だった

僕は鳥取砂丘には行ったことがない。
結構広いイメージがあって、あとは除草作業をしていることくらいしか知らなかった。

鳥取砂丘は、砂漠ではない。
鳥取は雨が多いので、乾いた土地ではないんだ。

鳥取で1年に降る雨は、約1,900mmある。
これはさっきのとても乾いた土地の目安(200mm)の10倍くらいで、日本で1年に降る雨の平均よりも多い。

雨の降る鳥取砂丘で、傘をさして砂丘を見上げる羊さん

でも、雨がそんなに降るのに、なぜあそこまで砂だらけなのか不思議に思うよね。

鳥取砂丘の砂は、中国山地から千代川(中国山地から鳥取砂丘の近くの海へ流れる川。)という川が運んで、日本海まで出した砂なんだ。
海に出た砂は、波によって海岸に打ち寄せられた。

そして海岸の砂は、冬から春にかけて吹く北西の季節風で、内陸へ運ばれていった。
だから鳥取砂丘は、砂漠の砂ではなく、海岸にできた砂丘ということになる。

鳥取砂丘に植物があまり生えないのは、砂が動いているからだ。
逆に言えば、砂の動きが止まれば、植物がたくさん生えてくるんだ。

じゃあ日本に砂漠はないのかというと、国の地図には砂漠と名の付く場所がちゃんとあるんだ。

日本にある砂漠と砂丘には、どんなものがあるのか

ここからは、地図で砂漠と呼ばれる伊豆大島の裏砂漠(伊豆大島の三原山の北東側に広がる黒い土地。)と、鳥取のほかの2つの砂丘を並べてみる。
どれも砂の景色だけど、成り立ちはそれぞれ違うので、比べながら読んでみてほしい。

地図の砂漠がある伊豆大島の裏砂漠は、雨の多い火山の島にある

伊豆大島には、僕は行ったことがない。
だからここに砂漠があると知ったとき、「なんでそんなところにあるの?」と思った。

裏砂漠は、伊豆大島の三原山の北東側に広がる場所だ。
地面は火山灰と細かい溶岩の粒で覆われていて、噴火のたびに積もったそれらが、砂漠のような黒い景色を作ったんだ。

国の地図(国土地理院)で砂漠と名の付く場所は、裏砂漠と奥山砂漠の2つで、どちらも伊豆大島にある。

ただ、伊豆大島で1年に降る雨は約2,900mmもあって、鳥取の約1.5倍になる。
だから雨の量で見ると、裏砂漠は「雨が少なくて植物が育ちにくい土地」という砂漠の条件には当てはまらないんだ。

雨がこんなに降るなら、普通は緑になりそうだと思わないかな?
それでも黒い土地のままなのは、強い風が吹き抜けるので、植物の種や芽生えが飛ばされてしまうからだ。
ただし、風をよけられる場所では、植物が少しずつ戻り始めている。

強い風が吹く伊豆大島の黒い裏砂漠と、遠くの三原山

浜松の中田島砂丘は、砂を足して守られている

中田島砂丘(静岡県浜松市の遠州灘の海岸にある砂丘。)は、静岡県浜松市の遠州灘の海岸にある砂丘だ。
日本三大砂丘の1つに数えられることもあって、砂の上には風の模様ができる。
僕はここにも行ったことがない。

遠州灘の海岸では、ダムなどのために、天竜川から流れてくる土砂が減った。
川から流れてくる土砂が減ったことなどから、海岸が削られていったんだ。

そこで静岡県は、中田島砂丘などの後ろにある土地を、海岸が削られることや浸水から守るための工事をしている。
その工事では、浜に砂を運んで足している。

足している砂は、天竜川の川底を掘った土砂や、ダムにたまった土砂だ。
砂を足すのをやめると、また削られていくおそれがあるんだ。

ほかにも市民団体などが、アカウミガメの放流や、砂をためる垣根づくりをしている。
砂を足して守っていると知って、僕は「やっぱりどこも砂丘を守ってるんだね」と思った。

砂丘って、放っておいたら残らないものなのか、少し気になってくるよね。

青森の猿ヶ森砂丘には、立ったまま埋まった木が眠っている

猿ヶ森砂丘(青森県の下北半島の太平洋岸に続く砂丘。)は、青森県の下北半島の東部、東通村の太平洋岸にある砂丘だ。
太平洋岸に沿って約15km続いていて、これは鳥取砂丘の東西の長さ(16km)とほぼ同じなんだ。

下北半島は、昔はヒノキの仲間の針葉樹で、青森県に多い木であるヒバ(ヒノキの仲間の針葉樹で、青森県に多い木。)の大きな森だった。
ところが数千年前から、海から砂が打ち上げられるようになった。
立ち枯れたヒバは、飛んできた砂に埋まっていったんだ。

そして800年から1,000年ほど前に埋まったヒバが、今も立ったまま砂の中に残っている。
これを知って、僕は「すごいな」と思った。
その場所は、青森県の自然環境保全地域になっている。

砂丘の砂の中に、立ったまま埋まった古いヒバの幹

また、猿ヶ森砂丘のあたりには、防衛省の下北試験場という国の試験場がある。

つまり猿ヶ森では、砂丘が森をのみこんだことになる。
海から打ち上げられた砂が、ヒバの森を埋めたんだ。

ここまで3つの場所を見てきたけど、どれも雨の多い日本にあるのに、なぜ砂の景色のままなんだろう?

雨の多い日本に砂漠はないのに、砂の景色が残るのはなぜか

日本に砂漠がないのは雨が多いからだったよね。
それなのに砂の景色が残っているのは、3つの場所のどれもが、植物が根付く前に砂か風が動いているからなのかもしれない。

鳥取砂丘は、砂が動いているので植物が生えにくい。
裏砂漠は、強い風で植物の種や芽生えが飛ばされる。
猿ヶ森砂丘は、海から打ち上げられた砂が、森のほうを埋めた。

だから日本の砂の景色は、砂漠のように水が足りないからではなく、砂や風が止まらないから残っているんだと僕は思っている。

じゃあ、砂や風が止まったらどうなるのか。

鳥取砂丘は、実際に草原になってしまった。
その草原になった鳥取砂丘を、砂が動く本来の砂丘に戻すために、松の伐採と除草が行われたんだ。
2004年からは、市民のボランティアによる除草も行われている。

草が広がり始めた砂丘で、草を抜く羊さん

人が草を抜いて砂丘を守っていると知って、僕は「なんで守ってるの?」と思った。

中田島砂丘のある海岸も、川から来る砂が減って削られ、砂を足して守っている。

砂の景色は、今も川と風に動かされている

ここまで読んでくれた人なら、日本の砂の景色が止まったままのものではないことが、なんとなく伝わったと思う。

鳥取砂丘は、砂が止まれば草原になるので、人が除草を続けている。
中田島砂丘のある海岸は、砂を足すのをやめると、また削られていくおそれがある。
そして裏砂漠では、風をよけられる場所で、植物が少しずつ戻り始めている。

砂の景色が草原や森に戻るのがいいかどうかは、なぜ戻るのかにもよると僕は思う。
それが自然の摂理なのか、維持することに何か意味があるのか、それともエゴなのか。

日本の砂の景色は、今も砂と風が動き続けているから残っていて、この先どんな形になるかはまだ分からない。

今回も未来を覗き見れたかな?それじゃ、バイバイ!

参考にした資料

・砂漠ってなんだろう?(鳥取大学 乾燥地研究センター「きみもなろう!砂漠博士」)
・砂丘(コトバンク:デジタル大辞泉)
・過去の気象データ 平年値(年・月ごとの値)鳥取(気象庁)
・過去の気象データ 平年値(年・月ごとの値)大島(気象庁)
・日本の水資源の現況(国土交通省 水資源部)
・鳥取砂丘の資料(鳥取県)
・鳥取砂丘ってどこにあるの?(鳥取県)
・The Tottori Sand Dunes—A Collaboration of Water, Wind, and Waves(観光庁 多言語解説文データベース)
・地理院地図(国土地理院)
・裏砂漠(東京都大島町)
・令和3年度 公共事業再評価調書 侵食対策事業 浜松篠原海岸(静岡県)
・天竜川水系及び遠州灘 総合的な土砂管理の取り組み 連携方針 参考資料(国土交通省 中部地方整備局ほか, 2014年3月)
・猿ヶ森ヒバ埋没林(林野庁 東北森林管理局)
・「青森ヒバ」とは(林野庁 東北森林管理局)
・東北のかなめ 第11号(防衛省 東北防衛局, 2010年)

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生き物・宇宙・地震…気になるサイエンスに手を出しまくる好奇心の塊🐑
「未来を覗き見る」をテーマに、身近な不思議から壮大な話まで、調べて分かったことをゆるく発信中。
専門家じゃないからこそ、初心者目線でわかりやすさを大事にしてます。
記事はAIと一緒に下書きし、数字や年号は参考資料にあたって確認したうえで、最後は僕が読んで公開しています。

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